首都圏模試センターの調べでは、2021年の首都圏の中学校入試では英語選択入試が143校になりました。
2014年から2021年にかけて15校から143校に増加したことになります。
これは帰国生を対象にした英語試験ではなく、一般入試としての数字です。
そのうち東京は84校あり、東京の全私立中学校の約50%になります。
出典:首都圏模試センター
(https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry002978.php)
中学受験での英語選択入試の現状を紹介します。
■英語入試が増えるのはなぜか?
中学入試にて英語入試が増えるのは理由は、三つあります。
①小学校の英語科目の導入
小学校では2020年度から高学年に対して英語が外国語として必修となりました。
2011年度から英語学習は始まりました。
2020年の教育改革として注目されていたのは小学校での英語教育の必修化です。
英語教育が開始されるのは3、4年生からで、外国語活動としてはじまりました。
5、6年からは外国語という教科として開始しました。
小学校3、4年生は年間で35コマの授業があります。
英語に親しむことを目的にコミュニケーションの経験を通して、ヒアリング力とスピーキング力を養います。
小学校5,6年生は年間で70コマの授業があります。
授業時間も中学年の2倍になります。英語のコミュニケーションの基本を身に着けることを目的に、会話重視の内容にかわります。
小学校3年生から英語になじみ、小学校卒業時には今までの中学1、2年程度の英語教育が終わる形になります。
②大学入試改革の英語試験の難易度アップ
2021年度から実施される大学入試の英語4技能化です。
読む、聞くに加え、話す、書くが加わります。
今までの暗記問題ではなく、思考力、判断力、表現力を重要視するテストになります。
勉強する内容も増え、難易度アップしたといえるでしょう。
そのため、中学、高校でも英語教育のレベルアップが欠かせず、入試試験科目に加えた学校が増加したのでしょう。
③グローバル社会の適応力強化
コロナ禍の影響でオンラインで何事もできるようになりました。
世界との距離は一段と近くなってきています。
今の親世代にとっては、英語はあくまで受験のための1科目に過ぎない
という捉え方になることも多いものでしたが、
これからの子どもたちは英語を使って生きていくことが求められるケースがどんどん増えていきます。
海外生活だけでなく、日本国内においても外国人と一緒に学んだり働いたりすることが当たり前になりつつあります。
このような社会の変化に対して、国としても教育の仕組みを変えていく、その過渡期にあるといえます。
■英語入試の内容は?
2021年の実績では私立学校の半分が何らかの形で英語を一般入試に組み込んでいます。
英語試験内容は、英検のように筆記と英語による自己紹介や英語を使った面接を行う学校もあります。
また、筆記試験はなく、英語での集団面接やコミュニケーション試験など、実技のみを実施する学校もあります。
■英語入試の今後の動向は?
まだ、英語入試については各学校ごとにやり方を模索している段階といえます。
現状は選択科目として扱う学校が多いですが、江戸川学園取手中・高等学校(茨城県取手市)のように、
2022年度入学の中学入試から英語を必須科目とするケースも出てきました。
また英検の取得により評価を優遇したり試験を免除とするなど、英語力を重視する流れはどんどん高まっていくことが予想されます。
まとめ
中学英語入試の増加している理由を紹介しました。
このような状況から、今まで英語教育に力を入れていた私立中高一貫校が、さらに英語教育の優先度をアップし英語試験の採用に踏み切っているのです。
試験については導入されたばかりでデータの蓄積が少なく、対策を取りづらいのが現状ですが、
低学年の内から英語学童や英会話スクールを活用したり、
英検に挑戦するなどして英語基礎力を高めていくことは非常に有効です。
また、目の前の受験のためだけでなく、子どもたちの将来を見据えて、英語を身につけていくことをおすすめいたします。