2020年から、段階的にプログラミング教育がさまざまな教科に取り入れられるようになりました。
今はまだ試験的に導入している科目が多い印象ですが、テレワークの普及もあり今後はプログラミング的な思考を養うシーンが増えていくことが予想されます。
プログラミング的思考=プログラミングスキルではない
「プログラミング教育は、単にプログラミングスキルを育成することではない。」
これは教育界がさまざまな方法で情報発信をしており、すでに小・中学生のいる家庭には周知され始めている事実です。くわえて、プログラミング的思考が論理的思考や筋道立てた考え方の確立につながっていくことも、すでに理解が進んでいます。
しかし、そのプログラミング的思考が実生活のどのような場面に役立つのかについては、いまひとつ具体的に想定できないというご家庭が多いのではないでしょうか。日本の学校教育は論理的思考に対する指導が不充分だった側面もあり、その必要性が見過ごされていたことも理解不足の原因といえます。
プログラミング的思考とは
日常で役立つ具体的なシーンを挙げる前に、「プログラミング的思考」について今一度おさらいをしておきたいと思います。
プログラミング的思考は言い換えれば、
・物事を効率よく進める方法の模索
・目的のための最適な手段の探求
です。
例えば、シチューを作る時に、鍋を火にかけている間にまな板と包丁を洗うため、先にすべての食材をカットしておく、加熱する時は火の通りにくい野菜から先に煮込む、などといった手順は、調理を効率よく進めるための手順といえます。
また、A、B、Cという複数の場所に買い物に行かなければならない場合を考えてみてください。
ほとんどの方がただ漠然と3つの店舗に行くのではなく、自宅からもっとも離れたAにまず足を運び、重い商品を買う予定があるBには道程の一番最後に立ち寄る、など労力の少ない立ち寄り方の計画を立てるのではないでしょうか。
このように「効率よく立ち回ること」がもっともシンプルなプログラミング的思考の活かし方です。
往々にして、子どものうちは効率や最適な手順を考えずに物事に着手する傾向があり、これが「早くしなさい」、「そんな大切なことならもっと前に言いなさい」と叱る原因にもなります。
子どもの生活シーンにおけるプログラミング的思考
では、上記のような日常の効率性追求を、子どもの生活シーンに当てはめてみましょう。
プログラミング的思考によって生活習慣を効率よくできるように
小学校に進学すると、宿題をすませる、明日の持ち物を用意する、入浴する、といったルーティーンを親まかせではなく自発的におこなってほしいところです。
しかし、ゲームに没頭したりYouTubeを連続で視聴したりして、寝る前になってから明日必要なものを思い出す、あるいは朝になって提出するはずの宿題を思い出す、など‥‥生活習慣が整わずに悩んでいるご家庭も少なくありません。
失敗を積み重ねて徐々に習得していければ問題ありませんが、なかには「宿題を忘れても謝れば許してもらえるからいいや」、「自分がやらなければ親がやってくれるから確認しなくても安心」という認識でルーズな生活から抜け出せないお子さんもいます。
そうしたお子さんは、プログラミング的思考を身につけることによって、効率よくルーティーンをこなす順序を見つけられる可能性があります。
プログラミング的思考によって気持ちの整理や伝え方を身につける
自分の思いをうまく言葉にあらわせず、かんしゃくをおこしてしまうようなお子さんは、感情の整理をおこない論理的に心情を振り返ることで、落ち着くこともあります。
言葉より感情が先に出ていきなり泣いてしまう、不用意な言葉でケンカやトラブルを起こしてしまうというお子さんは、自分の心の内を表出する方法をプログラミング的思考によって養っていくとよいのではないでしょうか。
プログラミング的思考によって能動的な学習をする
苦手な教科を避けているので全体的な学力が向上しない、得意分野と不得意分野の差が大きすぎるというお子さんも、論理的かつ効率を追求する思考法を身につけることによって、「やるべきこと」の順序をつけられるようになる可能性があります。
自身の中で学習フローやスケジュールを組み立て、必要なことをリストアップして系統的に取り組むことで、学力向上や能動的な学びが実現するでしょう。
まとめ:プログラミング的思考は地頭を育てることにつながる
プログラミング的思考は、地頭(本来の頭のよさ)を鍛え、生活力、学力など総合的な力を養うことにつながります。
プログラミング的思考は、プログラミング言語を学び、試行錯誤を繰り返すことで育っていきます。自由度が高く自ら考えて進めていくプログラミングのレッスンで、これからの時代に求められる力を育んでみませんか?