少子化の加速に伴い、受験の現場もさまざまな格差が広がりつつあります。

不安定な世の中で、子どもになるべく質の良い教育を授けたいというのは、親心として当然のことでしょう。

受験のための学習塾だけでなく、教養として習い事や特別な体験をしてほしいと望む保護者も増えています。

しかし、誰もがすぐにできるわけではない特別な体験の一つ、留学についても「日本を離れるメリット、デメリット」が気になるという方もいらっしゃるようです。

留学経験を活かせる帰国子女枠入試は拡大傾向

結論から言えば、留学経験を活かせる帰国子女枠の入試は、年々実施する学校が増えています。

また、受験要件についても、同様です。

以前の帰国生入試は両親の仕事に帯同していた場合など、特殊なケースでしか許可されない学校が少なくありませんでした。

しかし、帰国子女の定義を広くとらえ、多くの人数を募集する学校は増えつつあります。

帰国子女枠の入試が以前よりも広がっていることで、留学経験はよりプラスの方向にはたらきやすくなっていると言えます。

また、就職においても、留学経験は個性や国際的な視野を備えていると見なされ、有利となることが期待されています。

留学経験が進学にもたらすメリット

帰国子女の留学経験は、日本の高校や大学への進学において多くのメリットをもたらします。

1.言語力を習得・高められる

留学においてもっとも身につけやすいスキルと言えば、外国語です。

英語だけでなく、スペイン語、中国語など話者が多い言語を習得しておけば、進路において大きなアドバンテージになると考えられます。

留学中は、日本人だけのコミュニティにとどまらず努力すれば、英語などの外国語を使う機会が増えるため、語学力を高められます。

これは、大学入試や就職活動において非常に重要な要素となります。

2.国際的な視野を得られる

留学によって他国の文化や社会に触れることで、異文化理解や国際的な視野を身につけることができます。

これは、グローバル化が進む現代社会において、進学や就職において大いに役立ちます。

また、多様性を重んじる社会において先進的な視点を持てることは、必ず強みになるでしょう。

3.自己成長と適応力

留学は新しい環境での生活や学校生活になるため、自己成長や適応力を養う機会となります。

これは、高校生活、大学生活や社会人としてのキャリアにおいて、柔軟性や協調性を求められる場面で大いに役立つでしょう。

また、まったく文化の異なる新しい環境で適応していく体験は、日本にいてはなかなか得られない経験であり、度胸をつける意味でも有効です。

帰国子女あるある？留学のデメリット

一方で、帰国子女の留学経験が進学において障壁となる場合もあります。

1.教育制度の違い

留学先の教育制度が日本と異なる場合、学習内容や学校の評価基準が異なるため、日本の学校に戻った際に学習の遅れを感じることがあります。

ただし、前述したように日本における帰国子女の入試枠は拡大しています。

事前に受験情報を得ておけば、教育制度の違いを利用して有利な立場で受験することも可能です。

2.日本語の習得の難しさ

留学中に日本語をあまり使わない場合、日本へ帰国後に日本語の習得に苦労することがあります。

これは、学校や社会で円滑にコミュニケーションを取る上での障壁となるかもしれません。

とはいえ、1〜2年の留学では日本語力や語彙力が大きく低下することもないでしょう。

なお、語彙を獲得しやすい幼児期に長く海外で暮らす場合には、ご家庭で正しい日本語を使うようにする、日本語学校に通って日本語力をキープしておくなどの対策をとっておくと安心かもしれません。

少子化の今だからこそ留学経験は活きる

日本は少子高齢化で、公立の学校が統廃合したり、私立大学が新規募集を停止したりと大きな変革期に差し掛かっています。

大学全入時代と言われるようになって久しいですが、そのような時代である今こそ、「良い高校から良い大学、良い企業」というストレートな進路ではない、一人一人の個性を尊重した学びが求められているのかもしれません。

留学経験を活かすかどうかは、個人の選択と努力次第です。

帰国子女の皆さんは、自分自身の可能性を信じ、留学経験を活かした輝かしい進路を切り拓いていってほしいと思います。

まとめ：留学経験を活かせる進路をつかみとろう！

留学経験は帰国子女の大きな強みであり、進路選択において有利にはたらく大きな可能性を秘めています。

留学によって得た言語力や国際的な視野、自己成長と適応力は、進学や就職において大いに活かすことができるでしょう。

もちろん、留学で長く日本を離れることにはデメリットや障壁も存在しますが、自己努力やサポートを受けることで乗り越えていけるはずです。