今回は、「異文化理解の重要性」について、帰国子女のクロスカルチャー体験をテーマとしてご紹介します。
日本におけるクロスカルチャーの意味、そして帰国子女の異文化体験と帰国後のギャップについて解説し、多様性を重んじる社会との関連性を探ります。
また、帰国子女が日本で感じる異文化の具体例を挙げ、異文化を遠ざけるのではなく、理解しようとする姿勢の大切さをまとめます。
クロスカルチャーとは
クロスカルチャーとは、自国の文化と他国の文化について知り、それぞれの違いを比較しつつ、調和をはかっていくことを意味します。
帰国子女は、自国の文化とは異なる文化環境で生活した経験をもつため、異なる価値観や習慣に触れる「クロスカルチャー体験」が豊富です。
こうした帰国子女のクロスカルチャー体験は、異文化理解の最たるものと言えるでしょう。
多様性を重んじる令和における異文化とは
令和の時代は多様性を尊重し、包括的な社会を築くことが求められています。
例えば、女子でもスラックスタイプの制服が選べるようになったり、フレックスやテレワークといった新しい働き方が推進されたり。
また、夫婦別姓や同性婚について議論がなされるなど、今まで以上に「立場の異なる人を尊重する」という文化が重視されています。
こうした時代に、異文化理解は、多様性を実現するための鍵となるのです。
異文化理解を通じて、相互を尊重して立場や宗教、生まれ、文化の異なる人同士が共生するという考え方を育むことができます。
異文化理解は国際的な視野を広げ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献します。
SDGsには、
「ジェンダー平等を実現しよう」
「人や国の不平等をなくそう」
「平和と公正をすべての人に」
など、異文化理解や共生の理念に関わる目標(ゴール)が掲げられています。
異なる文化やバックグラウンドを持つ人々と協力し、共に社会を築くことが、必ずやこれから求められていくでしょう。
帰国子女が日本で感じる「異文化」の例
では、実際に帰国子女が感じる異文化とはどのようなものなのでしょうか?
帰国子女が日本に帰ってきて感じる異文化の例を、以下に挙げます。
1.礼儀作法と習慣の違い
誰もが知る違いは、「日本では多様なシーンでお辞儀をするが、海外では頭を下げる行為はあまり行われない」、「すいませんという日本語は、謝罪の意味だけではない」などでしょう。
しかし、海外で生活していく上で帰国子女は小さな習慣の違いをたくさん見つけているはずです。
日本で生活していると普通の仕草や習慣でも、日本と海外の両方を経験している帰国子女にとっては、新鮮に映ることがあります。
2.ジェスチャーやボディランゲージ
前述のお辞儀を少し似ていますが、日本では「ピースサイン」を気軽にしますが、海外ではあまりしない、海外でのウィンクは挨拶がわりのこともありますが、日本ではしている人があまりいない、など身体的な表現にも異文化を見出すことがあるようです。
3.人種や文化的な多様性
日本では、それほどアジア人、日本人としての民族意識をもつことがないかもしれませんが、多様な人種が同じ国で当たり前に生活している国では、考え方や人との接し方が違うことがあります。
帰国子女は、その特性上、異なる人種や文化的背景を持つ人々と接する機会が多いため、日本に帰国してから、改めて異文化間の相互理解について考える人も多いでしょう。
4.社会のルールと慣習
帰国子女は、日本社会のルールや慣習について学ぶ必要があります。
これには、ビジネスや人間関係における異なる期待やルールも含まれます。
社交辞令や目上の人への言葉遣い、接し方などは、日本独自のものもあり、帰国したばかりの帰国子女は戸惑うこともあるかもしれません。
5.食文化
食文化の面では、ドイツは夕飯に温かい食事をとらない、中国や台湾などアジアの地域では外で朝食を買って食べるのが一般的というような違いが有名です。
そして、日本では幕内弁当やキャラ弁など美しさや栄養にこだわったお弁当文化が浸透していますが、これも世界的に見れば少数派、立派な「異文化」の一つといえるでしょう。
味覚についても国が変われば好みが変わるため、比較の対象として分かりやすい物事と言えます。
6.社会的立場について
帰国子女は、海外において外国から来た「異質な存在」と見なされることもあります。
一方で、日本でも「帰国生」という枠組みを与えられて時にプレッシャーを感じることがあるでしょう。
しかし、海外での生活を経験したことで得られるものも多く、客観的な立場で両方の国をとらえ、それぞれの社会環境について考えられるのが帰国子女の強みです。
まとめ:異文化を遠ざけず理解しようと歩み寄る気持ちを大切に
異文化理解は、異なる文化間の交流において不可欠なスキルです。
異なる文化を遠ざけるのではなく、理解しようとする姿勢を大切にしましょう。
クロスカルチャーの経験を通じて、多様性を尊重し、相互理解を深めることができます。
令和の時代においては、異文化理解は持続可能な社会を築くための大切な要素となるはずです。